裁判外紛争処理(ADR)


裁判外紛争処理とは

裁判によることなく、法的なトラブルを解決する方法、手段などを意味します。例えば、仲裁、調停、あっせんなど、様々なものがあります。
※ 英語では、「Alternative Dispute Resolution」(「裁判に代替する紛争解決手段」)といい、我が国でも、頭文字を
  とって「ADR(エー・ディー・アール)」と呼ばれることがあります。


特徴は?

例えば、
( 1 ) 営業上の秘密などの配慮し、手続きの状況や内容を公開せずにトラブル解決を図ることが出来ます。
( 2 ) 当事者の事情や意見なども考慮し、法的な権利や義務に縛られることなく柔軟な解決を図ることが出来ます。
( 3 ) 簡易迅速に手続きを進めることが出来ます。
( 4 ) 著作権や知的財産権全般に詳しい専門家(弁護士、弁理士、大学教授等)の知識経験を活かした、
    きめ細かい解決を図ることが出来ます。
※ 裁判外紛争解決手続は、代表的なものとして、例えば、「仲裁」、「調停」、「あっせん」といったものがありますが
  これ以外にも、例えば、「裁定」、「審査」といったものがあります。


「仲裁」は、当事者の合意(仲裁合意)に基づいて、仲裁人で構成される仲裁廷が事案の内容を調べた上で判断
(仲裁判断)を示し、当事者がこれに従うべきこととなる手続です。「調停」、「あっせん」とは、当事者の間を調停人、
あっせん人が中立的な第三者として仲介し、トラブルの解決についての合意ができるように、話し合いや交渉を促進
したり、利害を調整したりする手続です。


手続きの流れ

( 1 ) ADRを利用したい者がADR機関(日本知的財産仲裁センターなど)に申立てを行います。
( 2 ) 申立てをADR機関が受付けると、ADR機関が相手方に連絡します。
( 3 ) 相手方がADR機関による紛争解決を望まない場合は、手続きは開始されません。
( 4 ) あっせん人、調停人、仲裁人などが選定され、調停案、あっせん案に当事者が合意すれば成立となり、手続き
   が終了します。当事者が拒否した場合は、不成立となります。
   仲裁は、仲裁人が仲裁を行い判断(仲裁判断)を行う。事前に仲裁合意を行っているので、当事者は仲裁判断
   を拒否することは出来ません。


民事訴訟との違い

【 長所 】
( 1 ) 利用者にとって費用が少なく済みます。
( 2 ) 非公開のため社内技術などが外部に漏れるリスクを回避出来ます。
( 3 ) 時間が訴訟と比べて係らない。
( 4 ) 手続きが裁判ほど難しくない。
( 5 ) 出頭などの日時が、当事者の都合に合わせて決めることが出来るなど、当事者の意向に合わせた柔軟な
   対応が可能です。

【 短所 】
( 1 )仲裁に応じた場合は、訴訟を起こす権利が失われます。
( 2 )解決手段に当事者が応じない場合があります。


裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律について

近年、社会が複雑高度化するに連れて、様々なトラブルが生じるようになり、トラブルの内容や当事者のニーズに
応じた様々な解決方法が求められるようになっています。 
このようなニーズに的確に対応するため、裁判機能を充実させる必要があることはもちろんですが、あわせて、
トラブルの実情に合った解決に導くものとして、裁判以外の様々な解決方法が提供されることが望まれます。 
そこで、裁判以外の解決方法をこれまで以上に充実させ、法的なトラブルに巻き込まれた方が、その解決を図るの
にふさわしい方法を選択できるようにするため、司法制度改革の一環として、「裁判外紛争解決手続の利用の促進
に関する法律」が制定され、平成19年4月1日から施行されました。 
この法律は、まず、裁判外紛争解決手続について、その基本理念、情報提供に努めるべき国の責務などを定めて
います。 
また、民間事業者が行う調停、あっせんなどの和解を仲介する業務を対象として、それが法律で定めた基準・要件
に適合しているものに法務大臣が認証する制度を設けています。
そして、認証された民間事業者の手続を利用した場合には、一定の要件の下に時効中断などの法的効果が
認められるなど、その利便性を高めています。